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第13章 結語

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以上の分析から、現在依然として残存している奨励措置と制限措置は、二つを除いて、外商投資法または外商投資法実施条例において対処されている。その二つとは、(d)’投注差と(i)’補助金交付による国有企業の競争上の優位である。

外商投資法がなぜ(d)’投注差の問題に言及していないかというと、(d)’投注差は外商投資法を実施した後も外商投資企業に適用されると考えられるものの、外商投資法の中で規定するには、技術性と複雑性が高すぎからであろう。様々な法令にバラバラに規定されて来た(d)’投注差に関する規制は、外商投資法以外の法令で修正して規定されるべきであろう。

外商投資法が(i)’補助金交付による国有企業の競争上の優位に言及していない理由は、現在、中国の国有経済が経済全体に占めるウェイトは、30%前後であり、社会科学院課題班の推計によると、2012年末時点の公有制経済と非公有制経済の比率は、資産でみると50.4:49.6、国内生産総額でみると32.4:67.6、雇用でみると25.1:74.9、中国が依然として国有企業に深く依存をしていることを意味している。3.4.9でみた、中国の「国有企業問題」は現在も存在しており、突然著しく国有経済を変えるような政策をとるのは難しいであろう。

第三章 投資保護には、(f)苦情処理制度、(e)’外貨送金、(g)’強制技術移転、接収または徴用の可能性に関連する条文がある。

第四章 投資管理には、(b)’外資規制、(b-1)’VIE、(c)’会社の設立と変更の厳格な手続、(e)株主会、監事会の免除、 (f-1)’外資によるM&Aの独禁審査が独禁法に置き換えられる、(f-2)’外資によるM&Aの国家安全審査の発展、(h)’ 合同年度検査 / 合同年報に関連する条文がある。

これらからは、今なお残る奨励策・制限策に存在する問題に対処しようという、中国の強い決意がうかがえる。

第三章 投資保護は外国投資家と外商投資企業が自身の利益を保護するための有益なツールを提供する。第四章 投資管理は彼らの権利を制限し、義務を課すことがある。したがって、外国投資家と外商投資企業はそれらの内容について十分に理解することが重要である。しかし、外商投資法と外商投資法実施条例それ自体は十分に明確ではない。

そのため、外商投資の制度と手続に関する詳細な規則が制定されて公布される必要がある。

これらの規則を制定する時、特に企業組織に関する事項と産業政策/経済運営に関する事項を区別することに注意しなければならない。外資三法の下での法令はこの二つが混ざりあったものである。これに対し、外商投資法第31条の規定によれば、企業組織に関する事項(組織機構と企業活動を含む)には「会社法」または「パートナー企業法」を適用しなければならず、内外法人平等待遇の原則が厳格に適用される。一方、産業政策/経済運営に関する事項については、外商投資法第28条、第29条等の規定(ネガティブリストの事項、承認管理または届出管理の対象となるプロジェクト)が適用され、外商投資企業に対して特別な規制を行うことができる。しかし、そのような規制も、真の必要性の原則に従い、できるだけ外国投資家と外商投資企業の負担を軽減するという原則に基づいて定められるべきである(これについては9.4で見た)。

例えば、合弁会社に関するどのような事項について、届出/承認が必要であろうか?その例の一つは合弁契約の変更である。合弁経営企業法実施条例第14条のもとでは、このような変更は審査機関の承認を要するとされていた。外商投資法によると、それは当該事項が企業組織に関するか、産業政策/経済運営に関するか次第である。前者であれば「会社法」または「パートナーシップ企業法」を適用し、内資企業と同様に取り扱う。後者であれば、外商投資企業に対する規制は内資企業とは異なるものとなるかもしれない。

より具体的な例を挙げると、合弁契約の株式譲渡または清算に関する条項の変更は、通常は企業組織に関する事項であるため、「会社法」または「パートナーシップ企業法」およびそれらの関連規定を適用しなければならない。このような法令において内資企業が届出または承認を求められてない場合、外商投資企業も届出または承認を求められないことになろう。

しかし、これらの規定が、例えば、ネガティブリストの目的を達成するためで、「中国側当事者が支配権を有している」という要件の充足を求めるものであるような場合は、真の必要性が認められれば、内資企業には要求されていなくても、そのような規制が外商投資企業に届出や承認を要求することはあり得る。

ある規制が上記の区別と制限を満たしていない場合、著者の意見としては、そのような規制は外商投資法に反するものとして違法だと考える。そして、外国投資家と外商投資企業は、実施条例第27条第2項の規定に従い、当該行政行為に対して行政訴訟を提起して、当該規制の審査を請求することが認められるべきである(8.4参照)。 外商投資法の施行によって、新しい外商投資の保護と管理のシステムが形成され、徐々に改善され、それにより中国がより魅力的な投資先になることに期待したい。

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