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4.4 (b)’外国資本規制のガイドライン規定

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3.4.2でみたように、1970年代から1980年代にかけて形成された中国の外資規制システムは、当初参入審査+優遇措置の方式により運営されていた。

鄧小平の「南巡」の後、中国の1990年代の急成長中に、中国は外国からの投資の審査・承認のプロセスに、一貫性ある秩序と方向性を持たせる必要性を認識した。

その目的のために、1995年に当時の国家計画委員会(現在は国家発展改革委員会(NDRC)として知られている)、国家経済貿易委員会、および対外貿易経済合作部は共同で外商投資の方向性の指導に関する暫定規定を発表した[指导外商投资方向暂行规定]。この暫定規定はその後修正され、2002年には国務院によって発行された、外商投資の方向性の指導に関する規定[指导外商投资方向规定](「指導規定」)に置き換わった。

これらの規則の導入により、中国は外商投資の参入段階で制限的な国民待遇を実施するようになった。いわゆる「制限的」とは、一部の産業については参入段階での国民待遇の実施を指すが、他の産業については非国民待遇が適用される、ということである。経済の発展と国内金融の自由化に伴い、国民待遇の適用範囲は徐々に拡大された。

外商投資産業指導目録[外商投资产业指导目录](「指導目録」)は、中国政府が外商投資を奨励(「奨励産業」)、制限(「制限産業」)、または禁止(「禁止産業」)した産業のカタログである。(これら3つのカテゴリーのいずれにも該当しないものは、「許可された産業」とみなされる)(指導規定第4条第2項)。

指導目録は、国家発展改革委員会と商務部によって作成され、3年、4年に1回くらいのペースで改訂されてきた。

奨励類に該当する産業については、投資承認が容易に得られ、他の条件を満たしていれば優遇(税制優遇措置など)を受けることができる。一方、制限類に該当する企業は、原則として新規投資の承認は得られない(既存投資の拡大は認められていた)。禁止類に該当する企業は、既存の投資以上に拡大したり、新しい投資を行ったりすることはできない。

指導規定は、指導目録のいくつかのカテゴリーにつき、特定の投資分野がどのように分類されるべきかの一般的な基準を定める。

具体的には、以下の種類の外国投資プロジェクトは奨励類に分類される(指導規定第5条)。

1) 農業新技術、農業総合開発およびエネルギー、交通、重要原材料工業に該当するもの。

2) 高度先進技術、先進的応用技術に該当するものであって、製品の性能を改善し、企業の技術・経済効率を高め、または、国内の生産能力が不足している新設備・新材料を生産することができるもの。

3) 市場の需要に応えるものであって、製品のグレードを高め、新市場を開拓し、または、製品の国際的競争力を高めることができるもの。

4) 新技術、新設備であって、エネルギーおよび原材料を節約し、資源を総合的に利用し、資源を再生し、且つ環境汚染を防止することができるもの。

5) 中西部地区の労働力と資源の優位性を発揮させることができ、併せて国家の産業政策に合致するもの。

6) 法律、行政法規が規定するその他の情況。

以下の種類の外国投資プロジェクトは制限類に分類される(指導規定第6条):

1) 技術レベルが立ち遅れているもの。

2) 資源節約および生態環境改善のためにならないもの。

3) 国が保護的採掘の実施を規定する特定の種類の鉱物の探査、採掘を行うもの。

4) 国が段階的に自由化する産業に該当するもの。

5) 法律、行政法規に規定するその他の状況。

以下の種類の外国投資プロジェクトは禁止類に分類される:

1) 国の安全を脅かし、または、社会の公共利益を害するもの。

2) 環境を汚染・破壊し、自然資源を破壊し、または、人体の健康を害するもの。

3) 大量の耕地を占用し、土地資源の保護、開発のためにならないもの。

4) 軍事設備の安全および使用功能を害するもの。

5) 中国特有の工芸または技術を利用して製品を生産するもの。

6) 法律、行政法規に規定するその他の状況。

上記の原則とガイドラインに基づいて、指導目録は、理論的にはすべての外国投資プロジェクトをカバーする、詳細なリストを提供し(これら3つのカテゴリのいずれにも該当しないプロジェクトは「許可類の産業」と見なされていることに注意を要する)、どの種のプロジェクトがどの類に属しているかを示す[1]

指導目録に記載されている項目の中には、「中国方の当事者が支配権を有する」、「合弁経営企業または合弁合作企業に限られる」などの項目もある。前者は中国方の投資比率が51%以上でなければならないことを意味し、後者は中外合弁経営企業または中外合作経営企業という形でしか成立できないことを意味する。

2000年に、指導目録に加えて、中西部地域で奨励類として扱われる産業の目録として、「中西部地区外国企業投資産業奨励産業目録」が設けられた。


[1] (Mahony) 108-9参照

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